2015-05-29 Fri
”だっそさま” 平九郎遺体となった平九郎の首は切り取られ越生今市村でさらし首となった。
その後、その首は法恩寺の僧侶により林に埋葬されたとされている。
一方、残された胴体は黒山の村人たちにより全胴院に手厚く葬られた。


小高い場所にある埋葬されたその墓地は故郷の深谷は見えぬとも何故かホッとさせてくれるかのような景色を見せていてくれていた。

激動の時間を過ごし、周りの景色に目をやる余裕さえなかっただろう平九郎は命の炎が消えたその場所でようやく落ちつくことができたに違いない。
村人たちは”脱走の勇者さま(だっそさま)”とし、首から上の病気の神様とその後も崇め続けたという。

こうして平九郎の激動の人生はこの地で幕を閉じたのだが、そのことを後に知った栄一は遺骨を掘り集め渋沢家の菩提寺である上野寛永寺に移したそうな。
山間の日暮れは早く、薄暗くなり始めたその時間。
もしも、もしも、この窮地を乗り切り逃げ延びられたとしたらその後の平九郎の人生は・・・、などと勝手に思い更けていると遠くでうぐいすの鳴く声が聞こえてきた。
それはそれは清々しく美しい鳴き声で、まるで汚れなき純粋な生き方しかできなかった平九郎の心を写すかのように。

(画像はお借りしました)
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